導入事例

株式会社SmartHR

【イベントレポート】オンライン施策が潮流の中、なぜ今オフライン施策にチャレンジしているのか。

株式会社SmartHR マーケティング ナーチャリングユニットマネージャー 原 聡汰

※この記事は2023年8月3日に実施のウェビナーの内容です。

労務管理クラウドの市場シェア5年連続No.1(※)を獲得し、99%以上の企業に継続利用されているクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を運営する株式会社SmartHR。「Employee First. すべての人が、信頼しあい、気持ちよく働くために。」をサービスビジョンに掲げ、従業員のエンゲージメント向上や離職防止、採用活動などの役に立つプラットフォームを展開しています。

同社のマーケティンググループでは、Web広告やメルマガ施策に加え、2023年3月よりオフライン施策をスタートさせており、直近の2023年7月までの約4カ月間で10種類のオフライン施策を実施・運用しています。

今回は同社が「SendWOW」を導入したその背景や狙い、DMの具体的な活用方法やPDCAの回し方について、マーケティングナーチャリングユニットマネージャーの原聡汰氏にお話を伺いました。


※デロイト トーマツ ミック経済研究所「HR Techクラウド市場の実態と展望 2022年度」
※本記事は2023年8月3日に開催されたSmartHR様ご登壇の自社ウェビナーの内容をもとに編集しております。



届けたい情報があるものの、オンライン施策だけでは継続して接点を持てない人がでてきた


ーーマーケティングナーチャリングユニットでは、どのようなミッションに取り組んでいるのでしょうか。

原聡汰氏(以下、敬称略):ナーチャリングユニットでは、イベントや展示会、Web広告などから獲得したリードを商談、受注につなげ、さらに受注したお客さまのアップセルやクロスセルを担っています。


また、ナーチャリングユニットのミッションとして、接点があるすべてのお客さまの顧客体験向上を通じ、「SmartHR」へのエンゲージメントを高め、「SmartHR」導入のきっかけをつくることを意識しており、その一環として「SendWOW」を活用しています。


ーーオフライン施策を実施する背景には、どのような課題があったのでしょうか。

原:オンライン施策だけでは、継続して接点を持てないお客さまが存在することが課題でした。弊社のお客さまデータベースのうち、直近3ヶ月以内に弊社からのメールを開封していないお客さまが多く、その一方で、機能アップデート情報やイベント告知、eBookなど、お届けしたい情報はどんどん増えていたのです。


そこでユニット内で検討し、「最適な接触機会の創出と、新たなチャネル開発を行うことが重要だ」との結論に至り、メルマガ等のテックタッチでは届けられないお客さまに情報を届けたいと考え、オフライン施策の着手とツール導入を進めることになりました。


ーーどのタイミングで上記の課題を認識されたのでしょうか。

原:インサイドセールスを担当する社員と日々会話をする中で、どうしても言葉が噛み合わない瞬間が出てきたことがきっかけです。たとえば、マーケティングではアクションが検知できているお客さまに対して、インサイドセールスからアプローチがなかったり、その一方でマーケティングとして検知できるアクションはないのに、インサイドセールスではアプローチを始めていたりと、マーケティングとインサイドセールスの行動にズレが起きていることから、課題を認識し始めました。


CRMツールとの連携、送付物の多様さ、使いやすさが導入の決め手に


ーーオフライン施策として「SendWOW」導入の決め手を教えてください。

原:「SendWOW」を選んだ理由は3つ挙げられます。

① CRMツールと情報連携が可能

弊社ではCRMツールに「Salesforce」を活用しており、「SendWOW」は「Salesforce」との情報連携が可能となっています。それによって、「SendWOW」でDMを送った個社ごとの履歴を確認できたり、「Salesforce」の画面から「この企業(担当者)にDMを送りたいな」と思ったら、すぐに「SendWOW」の画面を「Salesforce」上に表示することができるのです。2つのツールが、とてもシームレスに情報連携されていることに、大きなメリットを感じました。


② 多様な送付物の選択が可能

「SendWOW」では、デフォルトで豊富な種類の送付物をご用意いただいております。たとえば、大手喫茶店チェーンのドリンクチケットや年賀状、胡蝶蘭など、目的やお客さまに応じてカスタマイズすることができるのです。

そして、私たちが特に評価しているのが、「SendWOW」が用意しているクリエイティブだけでなく、弊社オリジナルの制作物も配送可能だというところ。とても柔軟にご対応いただけることは、社内からも高評価でした。


③ 誰でも使える・使いやすい

過去にDM施策を実施した際には、DM担当者という役割を設け、その担当者にDMの情報を集約し、クリエイティブ作成や送付リストの精査をしていました。そのため、どうしてもDMの業務は属人化してしまい、スピーディな対応が困難だったのです。


「SendWOW」を導入することによって、わざわざDM担当者を置くことなく、DMを実施したいメンバー自身がクリエイティブを制作し、リスト精査、入稿対応ができるようになります。なお、クリエイティブの最終チェックや、同じ方に何通もDMが届かないようにといった精査は、各ユニットの担当マネージャーが実施し、承認するというフローです。およそ2〜3週間でDM企画の立案から実際の送付までを実施できるようになるだろうと見込み、「SendWOW」の導入を決定しました。


マーケティングとインサイドセールス、それぞれで「SendWOW」を活用


ーー「SendWOW」の活用目的や特徴をお聞かせください。

原:主な活用目的は、部門別に大きく2つあります。

① アクションが取れない・接触できない人に接触する機会の提供(マーケティング部門)

オンラインの施策で接触できていないお客さまに対し、お客さまに必要だと思っていただける、喜んでいただける情報を、マーケティング部門から提供するために活用しています。

たとえば、「SmartHR」を名前だけは知っているが最新のサービス内容を知らない方には、最新のサービス紹介パンフレットを送付したり、最近お電話が通じない小売業界の方には、小売業界でお役立ちいただている資料を送付したりと、「もらって嬉しい」「教えてくれてありがたい」と感じていただけるコンテンツの提供を意識して、「SendWOW」を活用しています。


② 商談へ後押しをする施策(インサイドセールス部門)

まだ商談につながっていないお客さまに対して、面会希望のご案内をインサイドセールス部門が直接お送りしています。送付物形式のDMとし、「ご面会のお願い」と題して中の文章は各インサイドセールスのメンバーが独自に考えてお送りしています。もちろん大枠のひな形は準備していますが、お客さま一人ひとりに合わせた内容や届けたい情報を一通一通考えて送付していることが特徴です。


オフライン施策は定量的な効果だけでなく、インサイドセールスやお客さまからの定性的な感想も重要に


ーーオフライン施策をビジネスとして、どのようにPDCAを回して改善しているのでしょうか。

原:弊社のオフライン施策では、主に以下の5つの指標と副次的な効果を置き、PDCAを回しています。

・DMに記載のQR読み込み率

・DMに記載のイベント等へのコンバージョン率

・申込み/コンテンツダウンロードからの商談獲得率

・DM対象者へのアクション率、接触率

・DM経由でのWeb回遊率(サービスサイト内)

・DMに関する副次的な効果


送付数の文面にはQRコードを設置しており、読み込まれた回数を計測することができ、そこから商談やイベント参加への申し込み数を計測することができるのです。

たとえば弊社では、「DMに記載のQR読み込み率が3%を上回ったら非常によい反応である」「DMに記載のイベント等へのコンバージョン率が2%を上回ったら非常によい反応である」と定義しています。

その他の大切な指標が「DM経由でのWeb回遊率」です。情報を届けたくてもオンライン施策では届けられないお客さまは、そもそも弊社のサービスサイトに触れたことがない方が多いです。そのため、DMを送付した後にQRコードを読み込んでいただき、さらにその方々がサービスサイトを訪れてくださることは非常にありがたいことですので重要視しています。

そして、「SendWOW」で得られた定量的な数字は表にまとめられ、インサイドセールスからのヒアリングをベースに毎回振り返りをしています。たとえば、「配信対象や文面、コンテンツが良くなかったのか」「送付するタイミングが適切でなかったのか」「インサイドセールスと送付後の連携がよくなかったのか」などをディスカッションしています。


ーー「DMに関する副次的な効果」について詳しく教えてください。

原:副次的な効果には、いくつかのパターンがありますのでご紹介させていただきます。

パターン①:送付した対象の方と同じ部署の方にDMが届いたケース

中型のイベントの招待状が入ったDMを、A社のXさんに送付したところ、Xさんは参加できなかったものの、同じ部署のYさんにお申し込みいただき、イベント参加となったケースです。Yさんからは「お送りいただいたXは参加できないのですが、代わりに私が参加してもよろしいでしょうか」という丁寧なお電話をいただき、「DMにはこんな効果もあったのか」と気づきました。


パターン②:送付した対象の方とは違う方がDMを目にし、自身で弊社サービスを調べられたケース

弊社からお送りしたDMが、おそらく社内で回覧され、Xさん宛ての送付物ではあったものの、他の部署の方がたまたま目にし、直接インターネットで調べられたケースです。


リモートワークが増えた昨今、別の社員の方が一回封筒を開けて中を確認し、担当の方にお渡しするケースも増えていますので、今回のようなパターンも増えているのではないでしょうか。


パターン③:DMとメルマガを組み合わせ、相乗効果が得られたケース

「SendWOW」でDMを送付した後に、DMの補足情報が書かれているメールマガジンを送付したケースです。この施策はDMとメールマガジン双方に効果がありました。DMのQRコードの読み込み率がアップしただけでなく、メールマガジンの開封率、クリック率もアップしたのです。まさにDMのマルチチャネル活用の効果だと感じています。


また、その他にもインサイドセールスからは「架電がしやすくなった」「話題作りや会話のきっかけがしやすくなった」との意見も寄せられています。


定量的な振り返りだけでなく、そこから仮説を立ててマーケティング部門とインサイドセールス部門で意見を交換し、定性的な情報も得られたことで、副次的な効果にも気がつくことができました。もちろん定量的に施策を判断することは重要ですが、ぜひ数字には表れない副次的な効果までも含めて判断すべきなのではないでしょうか。


“オフライン施策の可能性”。
なぜSmartHR社は今後もオフライン施策に挑戦するのか


ーー今後「SendWOW」で取り組みたいことや展望を教えてください。

原:今回2023年の上期に「SendWOW」を活用したことで、「接触率を高めるヒントになりそう」「送付対象者以外に認知を広げるきっかけになりそう」「物理的な送付物があるとインサイドセールスがアクションしやすそう」といった“オフライン施策の可能性”に気がつくことができました。


私たちマーケティングナーチャリングユニットのミッションは、接点を持ったすべての人の顧客体験向上を通じ、SmartHRのエンゲージメントを高め、SmartHR導入のきっかけをつくることです。このミッションに取り組むため、お客さまに送付するDMで何を伝えるべきなのか、そして何を受け取ったら喜んでいただけるのかを、今後追求していきたいと考えております。


最後に今回のテーマである「オンライン施策が潮流の中、なぜ今オフライン施策にチャレンジしているのか。」に対して、2つの回答をさせていただきます。

① オンライン施策だけでは接点を持つことができない方に、継続的な接点を持つきっかけが欲しかったから

② オフライン施策ならではの副次的な効果を感じているから

この2つを理由に、オンライン施策だけではなく、今後もオフライン施策に対して積極的に挑戦していきます!

ーーありがとうございました!


<文= 大木一真>