導入事例

イタンジ株式会社

【イベントレポート】〜閑散期に前年比200%の有効商談を獲得した話〜THE MODELを次のステージに引き上げる『for you』ナーチャリング

イタンジ株式会社 インサイドセールスマネージャー 海津裕太

※この記事は2023年4月12日に実施のウェビナーの内容です。 

急速にDX化が広がっている不動産業界の中で急成長を続ける株式会社イタンジ。同社ではTHE MODELに倣った分業制から新たに独自のCustomer Focus制を導入。有効商談の獲得に取り組み、アポ数、商談実施数、成約数を指標とするインサイドセールスではさまざまな施策を実施しています。今回は「SendWOW(センドワオ)」を活用した顧客接点作りによって、昨対比200%の目標を達成した成功事例について、同社インサイドセールスマネージャーの海津裕太氏にお話を伺いました。


テレアポ ≠ インサイドセールス。イタンジが考える、インサイドセールスの在り方とは


ーーインサイドセールスチームの構成と数値目標について教えてください。

海津裕太氏(以下、敬称略):弊社では従来、THE MODELを参考に、分業制による有効商談の獲得に取り組んでいました。その一環として立ち上げられたインサイドセールスチームは、インサイドセールス経験者が1人もいない、本当に右も左も分からない状況からのスタートでした。初期のインサイドセールスチームは10名ほどの規模だったのですが、2023年4月時点では20名ほどが在籍する規模まで成長しました。


現在はTHE MODELの組織体制を辞め、一つのユニットにセールスとカスタマーサクセスが所属するCustomer Focus制を導入しています。Customer Focus制は、双方向コミュニケーションを活性化することでナレッジの共有ができたり、案件の取りこぼしの解消に繋がるのがメリットです。

現在のインサイドセールスで掲げている目標は、アポ数、商談実施数、成約数の三つです。他社のインサイドセールスですと、商談化率や商談化数を追っているケースもあるかと思いますが、弊社のサービスは業界特化型であるため、まずは顧客接点を増やしていくことを重視しています。定量的には、月間150件ほどの商談実施数を追っていまして、メンバー1人あたり1ヶ月で15〜20件のアポを獲得しています。バーティカルSaaSやホリゾンタルSaaSだけでなく、BtoBサービス全般を見ても一般的な指標なのではないでしょうか。


ーーインサイドセールスで大事にされている考えや姿勢があればお聞かせください。

海津:インサイドセールスのリーダーとして、私はずっとインサイドセールスチームをただの“テレアポチーム”にしたくないと考えていました。


テレアポとインサイドセールスはまったく違います。テレアポはリストの上から順番にひたすら電話をし、アポ獲得のためにリストを消化するだけです。そのため、お客さまとの信頼関係を構築することはできません。


一方でインサイドセールスは、電話を含めたさまざまなコミュニケーションの履歴をしっかり蓄積し、最適なタイミングで最適な情報をお客さまに届けることで信頼関係を構築することだと考えています。


電話以外で有効な施策を探していた。特定業界を対象とするSaaSならではの悩みと課題


ーー「SendWOW」導入の背景にあった課題やお悩みをお聞かせください。

海津:一つ目の課題は、業界特化型のバーティカルSaaSの場合、お客さま側からのお問い合わせ(インバウンド)によるアポ獲得が難しいことです。業界や業種を問わないホリゾンタルSaaSとは違い、バーティカルSaaSである弊社のサービスは不動産業界という限られた業界がターゲットとなります。


そのため、広告費をかけても新規リードが大きく増えることはなく、インサイドセールスが電話をしても同じリストにアプローチを繰り返すだけになってしまいがちなのです。新規リードがないと同じリストに電話をかけるしかなく、お断りされてしまう企業も増え、さらには決裁権を持つ代表者様や責任者様にも届かず、結果として費用対効果が合わなくなってしまいます。


もう一つの課題が、不動産業界の場合はそもそも電話だけでは開拓が難しい企業が少なくないことです。電話がつながらない企業に電話をかけても、インサイドセールスチーム全体の接続率が下がってしまうだけです。しかし、そうした電話では開拓できない企業に対して、当時の弊社はアプローチする手段がありませんでした。結果として、電話がつながらない企業に対しては、企業側からお問い合わせいただくことを待つしかなかったのです。


こうした二つの課題から、電話以外の方法で、こちらから企業にアプローチできる手段をずっと模索していました。


ナーチャリングに「SendWOW」のオフライン施策を採用したワケ


ーーこれまで抱えていた二つの課題に対して、どのようなアクションを取られたのでしょうか。

海津:インバウンドによるリストを増やしつつ、アウトバウンドによるアポ数を増やしていくため、ナーチャリングを強化するという方針を選びました。


ナーチャリングにおいて重要なのは、お客さまとの接点を持ち続け、積み重ねていくことです。たとえば、ニーズは確かにあるけれども、決算時期などでタイミングが悪いケースは、継続的なコミュニケーションさえ取れていれば、タイミングが良い頃に商談につなげることができます。


ナーチャリングによってお客さまとの信頼関係を構築し、設定を持ち続けていくためには必要なことは、“ギブアンドテイク”で言うところの“ギブ”をし続けることです。そこで当初は自社のリソースだけでできることとして、チームメンバーのみで送付物を手書きで書いたり、お客さま訪問時にチラシをお配りしたり、セミナー回数を増やしたりと、さまざまなアクションに取り組んでいました。


ーーナーチャリング施策として「SendWOW」導入の決め手を教えてください。

海津:大きく三つの要素があります。一つ目は、オフライン施策の工数と時間を大きく削減できることです。以前は自社リソースだけだったので、送付先のリストアップと手書き作業にとにかく時間がかかっていました。手書き作業の場合は、1日にどんなに多くても10〜20通しか送れないため、施策として上手くいかなかったのです。


「SendWOW」では、ワンクリックで送付したい企業と、送付したいレイヤーを指定することができるため、大幅な業務と時間の削減につながりました。


また、「SendWOW」では手間と時間をかけずにすぐ送付物を手配できるため、お電話が終わった直後の温度感が高いタイミングですばやく送付することができます。弊社のことをまだ覚えていただいているタイミングで、ちょうどお客さまの手元に届くのは評価できるポイントです。


二つ目は、弊社が導入している顧客管理システム「HubSpot」と連携できることです。「HubSpot」の顧客管理ページからワンクリックで連携することが可能ですので、スムーズに導入できるだろうと感じました。また、顧客ページでインサイドセールスの誰が、どの企業の、どなたに送付物を送ったかの履歴が残ることも、今後のコミュニケーションにおいて便利だと思います。


三つ目は、オフライン施策という新たな流入経路を構築できる点です。以前の弊社では、お客さまからの問合せと、アウトバウンド営業による二つの流入経路しかありませんでした。現在は、セミナーや既存顧客からのご紹介などの流入経路がありますが、オフライン施策という新たな流入経路を増やせることは、拡大する弊社にとって魅力だったのです。


閑散期に昨対比200%の有効商談を獲得!「SendWOW」で得られた三つの成果


ーー「SendWOW」の導入によって、どのような成果が得られましたか。

海津:これにも大きく三つの成果があります。一つ目の成果として、今回のセミナーテーマにもある通り、特に閑散期に大きな成果が得られました。以前の閑散期は、どうしてもアポイントが取りにくいだけでなく、せっかくお時間を頂いてもなかなか成約につながらないというケースが多々ありました。しかし、「SendWOW」導入後の閑散期は、アポ数が昨対比200%を達成、つまり同時期の閑散期の倍のアポを獲得することができたのです。


2つ目の成果が、成約率のアップです。弊社の一般的な成約率はおよそ10%前後なのですが、「SendWOW」で獲得したアポの成約率はなんと20%でした。送付物をお送りした企業に対するお電話で「送付物が届いていますか」と話題を切り出すことができたことは印象に残っています。


三つ目の成果が、アウトバウンドによるアポのうち、20%をオフライン施策で獲得することができたことです。弊社では、アウトバウンドで月間100件強のアポ数を獲得しているのですが、2023年の1月は25件、2月は26件のアポがオフライン施策経由でした。「SendWOW」によって、アウトバウンド全体の底上げができていると感じています。


正直なところ、当初はオフライン施策で月間10件くらいはアポが取れれば採算が合うだろう、くらいにしか考えていませんでした。アポ単価や成約単価を細かく見ていくと、以前は両方の単価ともに高騰していたのです。

しかし、結果として期待していた200倍以上の成果が得られましたので、大変満足しています。


『for you』ナーチャリングが実現する、正しい顧客接点とコミュニケーション


ーー今回の施策が成功した理由をどのように捉えていますか。

海津:何かをギブされたらテイクしようとする、日本人の国民性なのではないでしょうか。「SendWOW」では、送付物とともにギフト券を送ることができ、そのギフト券のQRコードから、そのギフトが使われたかを確認することができます。ギフトが使われたタイミングでお礼のお電話をすると「まずは話だけなら」とアポにつながりやすくなります。


「SendWOW」は、こうした日本人の国民性を押さえたサービスだと思いますね。

ーー「SendWOW」を提供するSmapoでは、“ギブ”を重視するナーチャリング施策を、『for you』ナーチャリングだと考えています。世界的にも、マスアプローチのナーチャリング施策には限界が来ており、だからこそ顔が見えるパーソナルな関係性をしっかり構築すること、そして正しくコミュニケーションすることが重要になっています。


海津:『for you』ナーチャリングという言葉は初めて知りましたが、根本的な考えは“ギブ”こそを大事にするということですね。お客さまとの関係を構築する上で、どれだけお客さまにフォーカスできるかは、今後ますます重要になってくると思います。当社の新しいCustomer Focus制もまさにそういった考えに基づき創られた組織です。今後も「SendWOW」を活用しながら、1人1人に寄り添った『for you』ナーチャリングを心がけていきたいですね。


<文= 大木一真>